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【コラム1】国際出願の種類

2021.1.7

知的財産権は属地主義といって、取得した国でしか権利を行使できません。そのため日本で知的財産権を取得していても、海外進出の際には改めて国際出願をする必要があります。
今回は、国際出願にどのような種類があるのかをご紹介します。

①直接出願・各国別出願
権利を取得したい国の特許庁へ直接出願する方法です。各国で定められた言語を使用し、各国ごとの手続きに従う必要があるため、書面の準備や翻訳コスト等の負担が大きいのがデメリットです。しかし、三か国以内など少数国への出願の場合は、他の方法よりも安価になります。また、他の方法には加盟国以外の国に使えないものもありますが、直接出願であればどこの国に対しても出願できます。

※パリルート出願
各国別出願をする際、第一国の出願日から12か月以内であれば、第一国を基礎としてパリ条約に基づく優先権を主張することができます。これは、新規性や進歩性等を判断する際に第一国の出願日が用いられる制度で、第一国で出願後すでに発明を公表している場合などに有効です。パリ条約の加盟国が対象となります。

②PCT出願(特許・実用新案の場合)
PCT加盟国であれば、一つの出願で複数国に出願した効果が得られるPCT出願が可能です。まず国際出願を行ったあとに必要な国に移行し、各国の審査手続きを受けることになります。パリ条約上の優先権も主張できます。各国への移行判断まで30か月の猶予があるため慎重な判断ができ、発明が特許性を有するか国際調査制度で調べることもできるため無駄な出願費用を削減できるメリットがあります。ただし、手数料が高額なため少数国出願には向かず、国際調査の調査結果を待たなくてはならないぶん特許化に時間がかかることがデメリットです。

③マドプロ出願(商標の場合)
PCT出願と同様に、国際登録をした後に指定国で審査手続きを受ける方法で、一つの出願で複数国に出願した効果を受けることが可能です。パリ条約上の優先権も主張できます。また、各国別出願と異なり審査期日が設定されているため、結論が早期に出ます。ただし、手数料が高額なため少数国出願には向きません。

④ハーグ出願(意匠の場合)
PCT出願、マドプロ出願と同様に、国際登録をした後に指定国で審査手続きを受ける方法で、一つの出願で複数国に出願した効果を受けることが可能です。更新手続きや各種変更手続きはWIPO国際事務局を通して一括で行うことができるため、登録後の管理が容易です。ただし、手数料が高額なため少数国出願には向きません。

国際出願において出願方法をよく検討することは非常に大切になります。海外への出願をお考えの方は弊所までお気軽にご相談ください。 ご相談、お見積もりは無料でいたします。

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