NEWS

【コラム72】この発明は特許になる?特許の要件

2023.8.23

特許権とは、発明を保護対象とする権利です。出願後、特許庁による審査を通過したもののみが特許権を取得できます。
では、具体的にどのような発明が特許権を取得できるのでしょうか。そもそも、発明とは何でしょうか。
今回は、特許として認められるための要件についてご紹介します。

まず発明とは、自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度なものを指します。
自然法則そのものやコンピュータ言語、天然物や絵画などは発明とは見なされず、特許権の保護対象となりません。

特許権を取得するには、産業上の利用可能性、新規性、進歩性などが認められる必要があります。

(1)産業上の利用可能性

ここでいう「産業」には、製造業、鉱業、農業、漁業、運輸業、通信業等が含まれるとされます。
この要件を満たさない発明で代表的なのは、人間を手術・治療・診断する方法(いわゆる医療行為)です。
また、個人的あるいは学術的・実験的にのみ利用される発明や、明らかに実施できない発明(地球表面全体をフィルムで覆うなど)も、要件を満たしません。

(2)新規性
出願前に公然と知られたり、実施されたり、刊行物やインターネット上で公表されたりした発明は新規性がないと見なされ、特許を受けることができません。
発明者(出願者)が自分の手で公開した場合もこれに当てはまるので注意が必要です。
ただし条件を満たせば、新規性喪失の例外の適用を受けられる可能性があります。

(3)進歩性
進歩性があるとは、容易な発明でないということです。
具体的には「その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(当業者)が、先行技術に基づいて容易に発明できる」場合に、進歩性がないと見なされます。

(4)先願であること
日本の特許制度は、発明の早さなどの諸要素に関わらず、先に出願した者が権利を取得できる先願主義をとっています。

(5)公序良俗を害さないこと
偽札の製造方法など、法に触れるような発明で特許を受けることは出来ません。

これらの要件を全て満たさなければ特許権を取得することはできませんが、実用新案権や意匠権を取得できる可能性はあります。
これらの権利には、取得までの期間の短さや安価さといった特許権にはないメリットもあります。特許権にこだわらず柔軟に権利化を行っていくことが重要です。
権利取得をお考えの方、知的財産についてお悩みの方は、弊所までお気軽にお問い合わせください。ご相談・お見積りは無料で行っております。

お問い合わせはこちら

こちらのコラムもぜひご覧ください。

【コラム2】実用新案権の活用プラン

【コラム13】知的財産権に関する補助制度の活用

【コラム19】意匠の活用プラン

【コラム31】早く権利を取得する方法(早期審査:特許編)

pagetop