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【コラム71】展示会に潜むリスク~技術流出を防ぐには?~

2023.8.4

自社ブランドの認知拡大や、顧客との関係づくりなど、展示会にはたくさんのメリットがあります。
今回は、展示会に出展する際の知財流出対策についてご紹介します。

展示会には、国内・海外問わず多くの参加者が訪れます。
中には、取引ではなく情報収集や模倣を目的とした参加者もいるため、特許出願前の新製品の出展や、資料の開示にはリスクが伴います。
また、技術流出に気を配っていても、見た目を模倣して商標や意匠を出願されてしまうこともあります。
展示会に出展する際には以下のような点に注意しておきましょう。

(1)出願前特許・意匠の新規性喪失リスク
日本の特許制度では、特許出願より前に公開された発明は、新規性がない発明として原則として特許を受けることができません。
国内外での展示会や学会、メディアでの発表は、発明者による公開であっても新規性を喪失したと判断されてしまうので注意が必要です。
万が一出願前の発明を公開してしまった場合は、新規性喪失の例外規定が適用できるかどうか、早めに確認しておきましょう。

(2)知財は「属地主義」海外進出前には早めの権利取得を
知的財産権は「属地主義」といって、取得した地域でのみ有効な権利です。
つまり、日本の特許庁で特許権が取得できた場合でも、海外進出時には現地の特許庁で権利取得をしない限り、権利行使ができません。
海外進出を視野に入れている場合には、必ず海外でも登録しておくようにしましょう。
現地の展示会に出展する際は、自社の商標にRマークを付して登録済みであることをアピールすることで、模倣の抑止効果が期待できます。

(3)模倣に繋がる情報開示は慎重に
展示会ではさまざまな方法を駆使して自社製品の魅力をアピールすることになりますが、開示した情報が模倣品づくりに利用されるリスクも認識しておきましょう。
例えば、ブース内でプロモーション映像を放映したところ、製造工程のノウハウが映り込んでしまっていたというケースは多いです。
また、サンプルや図面、製品カタログは製品情報の宝庫ですから、渡した相手を記録しておくなど扱いに注意が必要です。
営業トークをする場合も、不特定多数の参加者が相手であるという意識を持ち、大切な情報やノウハウを不用意に漏らさないようにしましょう。

展示会は自社の認知度を高め、顧客に直接アピールできる良い機会である一方、新規性喪失や技術流出のきっかけとなってしまうこともあります。
自社のブランドや技術を守るため、展示会の出展に際しては知財についても意識しておくのがおすすめです。

権利取得をお考えの方、知的財産についてお悩みの方は、弊所までお気軽にご相談ください。ご相談、お見積りは無料で行っております。

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