NEWS

【コラム45】先使用権の成立要件とは?

2022.8.8

先使用権とは、他者による特許出願が行われる以前より
その発明に係る事業を行っていた(または準備をしていた)人に認められる権利です。

日本の特許制度は先願主義を採用しています。つまり、複数の人が同一内容の発明をした場合、先に出願した人だけが特許権を取得できます。先願者が特許出願を行う前から事業を行っていた(または準備をしていた)人がいても、特許権という独占権に服すため、差止請求や損害賠償請求の対象となってしまいます。これを防ぐため、先使用権者は特許権を無償で実施し、事業を継続することが認められています。つまり、先使用権制度は、先願者と先使用者の公平を図るための制度なのです。

先使用権には3つの成立要件があります。

1.独自に発明したこと
  先使用権者が独自に発明していることが条件になります。
2.事業を行っているか、事業の準備をしていること
  日本国内で発明に係る事業を行っているか、すぐに実施できるほどの準備を行っている必要があります。
3.事業を継続していること
  特許出願後に事業を辞めている場合には認められないことがあります。

高度な研究開発で他者に追随されないため、戦略的に技術を秘匿して事業化するケースも増えています。このような場合に、仮に他者が特許を取得しても先使用権を主張して事業を継続できます。先使用権の立証準備には、作成者や作成日が明確に示されている実験データの提出や、製品や技術の開発過程の資料や議事録など確実な証拠が必要となります。日頃から先使用権の証拠を収集・管理しておくことが大切です。

侵害関係でお悩みの方は弊所にお気軽にご相談ください。ご相談、お見積りは無料で行っております。

お問い合わせはこちら



pagetop