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【コラム44】審査請求の時期を検討する際の考慮要素について

2022.8.5

特許出願を行うだけでは特許権を得ることはできません。出願後3年以内に、様式や出願内容を確認する特許審査を行い、その後、行政的手続きである特許査定を得たら権利化することができます。
前者の特許審査は出願と同時に自動的に始まるのではなく、出願者等が3年以内に申請を行うことで始まります。この申請が「審査請求」と呼ばれるものです。審査請求の期限として、3年間の猶予があるわけですが、時期を検討する際に考慮すべきことについて解説します。

・出願内容に改善点や漏れはないか?
出願内容に改善点や漏れがあった場合、直ぐに審査申請を出してしまうと、拒絶されたり、質の低いまま権利化されたりする場合も考えられます。出願して1年以内であれば、国内優先権と呼ばれる権利を主張することで、先の特許出願の内容に改良発明を追加した、新たな特許出願をすることができる制度があります。
ただし、優先権主張の基礎とすることができないこともあります。特許査定や、拒絶査定等が出た後には改良発明を追加することができません。
もう少し研究を進めて、改良発明も優先権を主張して特許を取得したい場合には、審査を進めない方がよいとも考えられます。

・特許内容をいつ公開するのか?
特許庁による出願内容の公開は、出願後1年6ヶ月経てから公開される「公開公報」と特許権成立後に公開される「特許公報」があります。もし、早めに審査申請を行うと、公開公報よりも特許公報が出され、より早く内容が公開されます。この公開時期も考慮して会社やグループの方針を決めた上で審査請求のタイミングを検討する必要があります。

・他社との競合はあるか?
他社製品などに出願内容の技術等が用いられている場合、その他社も出願し、先に権利化される場合があります。このような場合には早めに審査申請を提出した方が良いと言えます。

以上が確認すべきポイントとなりますが、会社の方針に合ったタイミングや出願内容と鑑みて検討していく必要があります。弊所では、ご相談内容をヒアリングして、個々の状況に合わせてご提案させていただきます。知的財産権に関するご相談は、ぜひ弊所にご連絡ください。

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