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【コラム35】先願主義について

2022.4.21

先願主義とは、先に出願をした権利が優先的に登録されるというものです。
先願主義が適用される権利には、知的財産権である、特許、意匠、商標、実用新案などがあります。

同じ発明をした人が2人いたとき、先に発明した人ではなく、先に出願をした人が権利を得ることができます。誰の目にも権利が与えられるべき順番が明瞭なため、トラブルが少なくなるという長所があります。一方、先に発明をした人が権利を与えることを先発明主義と言います。

先発明主義には、先に発明をした人を決定するのが困難であることや、一度権利が付与されても、より前に発明をしていた人が後から出願をし権利が覆されてしまう可能性があることなどから、様々な国で先発明主義から先願主義へと移行しています。
1921年に日本、1989年にカナダ、1998年にフィリピンが先願主義へと移行しました。
最後まで先願主義を採用していた米国でも、2011年に特許改革法が成立し先願主義へ移行しました。
これにより、現在はすべての国が先願主義を採用していることになりました。

海外に知的財産権の出願をしたい場合には、先願主義に注意しなければなりません。

例えば、ある人が腕時計の会社を経営していて、新しい形の腕時計Aを開発したと考えます。日本国内で腕時計Aの特許を取得し、販売を開始したところ、爆発的にヒットしました。そうして更なる販路開拓を目指し、B国に進出させることにしました。

もしこのとき、B国での特許を取得せず、B国内で販売を開始してしまうと、あるリスクが発生します。
それは、販売した腕時計Aと類似の商品が、既にB国で特許を取得し、生産販売していた場合、特許権侵害で販売差し止め請求や損害賠償を請求される可能性があるということです。
このように特許を含む知的財産権は、取得した国でのみ有効という属地主義に基づく制度なので、海外進出を考えたときに、発明の先後に関わらず海外での知的財産権を先に取得していないと、最終的に損をする事態を招いてしまうのです。

早めに知的財産権を取得することが重要ですので、国内外の知的財産権出願をお考えの場合は、是非弊所にご相談ください。ご相談、お見積りは無料で行っております。

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